庭園外鉄道(連載第38回)
庭園鉄道には庭園が必要です。でも、庭園がない家に住んでいる人も、庭園外鉄道なら実現できます。それはつまり屋内鉄道です。鉄道が屋内にあることは不自然ですが、多くの鉄道模型は室内にあるのです。この点を不思議に思ったことはありませんか?
日本は雨が多く湿度が高いため、庭園鉄道には不向だといわれています。特に、サイズが小さい模型の場合、線路の走行状態を維持することが面倒になります。一方、室内で走らせる場合には、スペースの問題が大きくなるでしょう。このため、天井裏を利用したり、部屋の壁にそわせて高い位置にレールを据え付けるなどの工夫がされてきました(図1)。
さらにサイズが大きい乗用鉄道では、室内で楽しむという発想はかなり非常識かもしれません。しかし、既に説明したとおり、軽便鉄道(ナローゲージ)ならば、たとえば5インチゲージでもカーブの半径を1mくらいまで小さくでき、半径2mもあれば、連結した列車を無理なく運行できます。普段は少々邪魔になりますが、線路は敷きっぱなしでも、踏んで壊れるようなことはありません(躓かないように注意が必要ですが)。家の中で、鉄道に乗って運転するなんて、楽しそうですね。
これは、ショッピングモールなどにある子供向け鉄道に似ています。あの楽しさを大人になっても味わいたい人は、自宅を室内遊園地にすることをおすすめします。メリーゴーラウンドやコーヒーカップも少し小さくして(つまり模型で)作ると面白いでしょう。最近では、ジェットコースターを自作した人の話を幾つか聞きます。ディズニーランドの生みの親であるウォールト・ディズニーも、自宅に庭園鉄道を作っていました。そちらの方が遊園地よりさきだったということです。
理想的なのは、室内と室外(庭園や屋上)の線路を結び、列車が出入りできるようにすることでしょう(図2、3、写真1〜3)。室内に線路を引き込めば、良い環境で車両の製作や修理、メンテナンスを行うことができます。車内に人が乗れる大型車両ならば、室内の駅で乗り込み、外へ出ていくこともできます。こうすれば雨天の運行も可能でしょう。また、室内で地下鉄のミニチュア鉄道を作るのも面白いかもしれません(図4)。
庭園鉄道は、いろいろなサイズの模型で楽しめますし、また場所も「庭園」だけに限らず楽しめる趣味だといえます。
写真1 ガレージに引き込まれた線路: ドアの下の隙間を塞ぐスポンジ付き木材を嵌め込んで、風や虫の侵入を防いでいる。写真はそれを取り外した状態。
写真2 ガレージの中にも引込み線がある: 蒸気機関車の下に入って修理をするピットもある。また、この右へぐるりと一周できるエンドレスが設置されている。
写真3 ガレージ内のエンドレス線: 中壁の周囲を巡っている。カーブの半径は2〜3m。外に出られない日も室内で運転ができる。写真は1/6スケールの木曽森林ボールドウィン。
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